「保育園って知ってる?」と聞けばそれがどんな施設なのか、小さな子から大人まで、多くの人が「知っているよ」と答えるのではないでしょうか。
でも保育園の日々ってどんな毎日なのか、その中を知っている人は本当に一握りではないかと思います。
このシリーズでは、今年の春まったくの異業種から、東京児童協会にやってきた新人職員が見た「保育園」のリアルな日常をお届けします。日頃なかなか知る機会がない「保育園ってこんなところ」「東京児童協会の園児たちが過ごす毎日」をお伝えしたいと思います。
保育園は人との関わりから「やさしさ」を知る場所
今年の桜は満開日が遅れ、4月のはじめに入園・進級する園児たちを祝福するかのように咲いていました。
そんな4月のある日、室内活動の時間。
ほし組さんはフルーツバスケットをすることになりました。
みんなで輪になって座り、真ん中に立った子が「朝、りんごをたべたひと!」などと言うと、該当した子は場所を移動します。
椅子の数が人数よりひとつ少ないので、移動して座れなかった子が今度は真ん中に立ち、次のお題を叫びます
「みどり色の服を着てるひと!」
「ヨーグルトがすきなひと!」
「きいろがすきなひと!」
真ん中に立った時、大きな声でお題を叫ぶ子が多いなか、何回目かで真ん中に立った子は、恥ずかしいのかなかなかお題を叫べずにいました。
こんなとき、大人の目線で考えると「早く言って」とか「もっと大きな声で」とか、そういった発言が飛び交ってしまいがちですが、このとき保育士の先生はこうみんなに伝えました。
「みんな静かにしてあげよう、○○君の声が聞こえるように」
みんな静かに、真ん中に立つ子の声に耳を傾け、ゲームは進行していきました。
保育士の先生の声掛けで、子どもたちは「やさしさ」を知っていく
世の中にはいろいろな人がいます。
声が大きい人、小さい人、いろいろな言葉がすぐに浮かぶ人、考えてから発言する人。
そういった多くの人がいることを、子どもたちは「保育園」で知るのです。
そして更に、そういった様々な人たちに出会ったとき、どのように向き合ったらよいのか、先生たちの声掛けが導いてくれます。
大きな声で喋れない子がいたら「聞こえないからもっと大きな声で言って」と言うのは簡単なことですが「静かに聞いてあげよう」という見方をしてあげるのは、人と人との関わりのなかでしか知ることのできない「やさしさ」なのではないでしょうか。
保育園の毎日には、こんなことがたくさん溢れています。
異業種からやってきた私にとって、これは驚きと感動の連続でした。
多くの素敵な場面に溢れた、こんな保育園の日常をこれからたくさん伝えられたらと思っています。