都内で22園を運営する東京児童協会では、2019年から幼児教育交流会「東京幼児教育交流見学」を行っています。これは、台湾の教育団体が都内の保育園を視察する事業。東京児童協会では、保育士として活躍する林先生と陳先生が通訳を兼ねてアテンド、延べ100人の方が参加されています。
今回は、交流会の様子や海外の保育園環境を伺いました。
2019年からスタートした「日台交流事業」
2019年に台湾の雑誌で東京児童協会が紹介されたのをきっかっけに始まった「日台交流事業」。そこで通訳兼アテンド役としても活躍するのが、同協会で6年前から保育士として勤務する、中国・福建省出身の林先生(ひらがなのツリーほいくえん)と陳先生(台東区立たいとうこども園)。
東京児童協会の視察を経て
日本×台湾の交流事業で、台湾の教育関係者が興味深く視察していたのが、保育環境だといいます。和や鉄道、アートなど地域に根ざしたそれぞれの園独自のテーマで造られている環境は、東京児童協会ならでは。
加えて、絵などの装飾品や、年齢に合わせた高さの異なるテーブル&椅子、玩具、鏡など、子ども目線で整えられているハード面でのアイテムも興味深く見学。
また、コーナー保育や異年齢保育など、個々を大切にする保育スタイルにも関心されていたそうです。保育士主導ではなく、子どもを主体にした保育は、台湾の人にとって斬新にうつったようです。
自由な保育スタイルに感心しながらも、なかには椅子にしっかり座って話を聞くことができるかなど、小学校に上がったときに困らないような所作を身につけることができるのかという心配をされていた人も。
ですが、東京児童協会では「ワンルーフゼミ」がそれに変わる学べる機会があります。これは、机に座ってただ問題を解くというものではなく、楽しみながら子どもたちが多角的に物事を考えられるように促す、同協会独自の教材です。
現在は状況が変化している可能性もありますが、今回アテンド役の2人が幼少期を過ごした中国では、幼稚園が主流で、企業内に設けられている託児所が保育園の役割を果たしていたといいます。また共働きの場合は、子どもを親族に預かってもらう形も多かったそう。
そんな日本とは異なる環境で過ごす海外の教育関係者にとっては、東京児童協会がすすめるコーナー保育や、機能的な環境、栄養士による食育、バランスを考えられた給食の提供、看護師による命の大切さについて学ぶ機会、など、参考になった部分も多かったようです。
お話を聞いたのは……
林先生(ひらがなのツリーほいくえん)
陳先生(台東区立たいとうこども園)